
キャンプは最高の免疫活動なのか?
森とNK細胞のちょっと面白い話
キャンプが好きだ。
焚き火をして、飯を作って、酒を飲む。
朝になれば鳥の声で目が覚める。
「自然の中にいると、なんとなく身体に良さそうだな」
キャンパーなら、一度くらいそう思ったことがあるんじゃないだろうか。
ところが調べてみると、この「なんとなく身体に良さそう」という感覚。
まったく根拠がない話でもないらしい。
キーワードは、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)だ。
NK細胞って何者?
NK細胞は、私たちの身体に備わっている免疫細胞の一種。
ウイルスに感染した細胞や異常な細胞などを見つけ、攻撃する役割を持っている。
いわば身体の中をパトロールしている「生まれつき備わった警備部隊」みたいなものだ。
そして、このNK細胞と森林との関係を調べた日本の研究がある。
森で過ごすとNK細胞の活動に変化が
日本医科大学の研究グループなどが行った森林浴の研究では、森林環境で一定時間を過ごしたあとに、
NK細胞活性の上昇
だけではなく、
NK細胞数や、パーフォリン・グランザイムなど細胞を攻撃する際に使われる物質の増加
も観察されている。
さらに興味深い。
森林から帰って日常生活に戻ったあとも、研究によっては7日後にもNK活性の上昇が確認されたという。
つまり、
「森にいる間だけ気持ちいい」
という話ではない可能性があるのだ。
じゃあ、なぜ森なのか?
原因が完全に解明されているわけではない。
ただ、その候補の一つとして研究されているのがフィトンチッド。
樹木が放出しているα-ピネンなどの揮発性物質だ。
さらに森林環境では、ストレスに関係するホルモンの低下なども報告されている。
だから、
森林の空気、香り、視覚、音、ストレスの軽減、軽い運動――
そうしたものが複合的に作用している可能性が考えられている。
……待てよ。それってキャンプじゃないか。

ここまで調べていて思った。
森林浴のために森へ行って数時間過ごす。
キャンパーはそれどころじゃない。
テントを張って、
薪を割って、
焚き火をして、
飯を作って、
木々の中で何時間も過ごして、
そのまま寝て、
翌朝も森にいる。
森林滞在時間だけなら、なかなかのものである(笑)
しかも私の場合、これを趣味として自発的にやっている。
健康法として義務的に森を歩くのではない。
「キャンプ行きてぇ」
と思って森へ行っている。

これも結構大事なんじゃないかと思う。
ただし「キャンプでがん予防」は言い過ぎ
ここは大事なので書いておきたい。
森林浴によってNK細胞活性などが変化した研究があるからといって、
「キャンプをすれば病気にならない」
「キャンプでがんを予防できる」
ということが証明されたわけではない。
研究規模が小さいものもあり、NK細胞活性という指標が上昇することと、実際に病気になる確率が下がることは別問題だ。
そこは話を盛らない方がいい。
でも、
自然の中で過ごすことが、人間のストレスや免疫機能にどんな影響を与えるのか。
これは実際に医学研究の対象になっている。
それだけでも十分面白い。
キャンプに行く理由が、また一つ増えた。
だから次に、
「またキャンプ行くの?」
と言われたらこう答えてみようと思う。
違う。
NK細胞を活性化しに行くのだ。
テントを張るのも研究活動。
焚き火も研究活動。
森の中でボーッとしているのも研究活動。
そして夜の一杯は……
そこだけはNK細胞とは関係なく、完全に俺の趣味である。
