
【やさしく解説】「善管注意義務」ってなに?
【やさしく解説】「善管注意義務」ってなに?
契約や不動産の場面でトラブルを防ぐキーワード!
善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)ってなに?
「善管注意義務」とは、正式には
「善良な管理者の注意義務」のことを指します。
かんたんに言えば、
「普通の人ならこうするよね」というレベルの注意をしっかり払ってね、という義務のことです。
すべての契約や取引にこの義務があるわけではなく、特定の場面に限って必要とされる注意義務です。
どこに書かれてるの?
善管注意義務は、民法第400条に明記されています。
民法第400条(特定物の引渡し)
特定物の引渡しをする義務を負う者は、引渡しが完了するまで、
その物を「善良な管理者の注意」をもって保存しなければならない。
具体例:美術品の売買を例にしてみよう
たとえば…
美術品の売買契約が成立
➡ 売主は買主に渡すまで、その美術品をていねいに保管しなければいけません。
➡ このときに求められるのが「善管注意義務」です。
もし、その間に美術品が破損してしまったら?
売主がちゃんと管理していたなら、責任は問われない(→危険負担の問題)
売主が雑に扱っていたなら、責任を問われる(→債務不履行)
つまり――
「どれくらい注意していたか?」が重要になるわけですね。
どんなときに必要なの?
善管注意義務は、いろいろな場面で登場します。
条文 どんなとき?
民法400条 特定物を渡すまでの保管(不動産・美術品など)
民法298条 留置権で物を預かっているとき
民法350条 質権をもって物を保管しているとき
民法644条 委任契約で受任者として行動する場合
どれも、「人の物を預かる・管理する立場」になったときに発生する義務です。
善管注意義務より“軽い”注意義務もある?
実はあります。
たとえば、次のような場合です
状況 注意の程度 条文
無報酬で荷物を預かった場合(受寄者) 自分の物と同じように扱えばOK 民法659条
親が子の財産を管理する場合 自分のためと同じようにすればOK 民法827条
これらは、「善管注意義務」よりも軽い注意で許されるとされています。
つまり、もし軽い不注意(軽過失)でミスしても、
重大な落ち度がなければ責任を問われないこともあるということです。
まとめ:自分が何をどれだけ注意すべきかを知ろう
「善管注意義務」は、契約・相続・登記・委任など
さまざまな場面で登場する重要なキーワードです。
特に――
他人の物を預かったり
契約の目的物を保管したり
誰かの代わりに手続きをするような場面
では、「ちゃんと注意して管理したか?」が後で大きな問題になります。
だからこそ、「善管注意義務って何?」を知っておくことが、
トラブルを防ぐ第一歩になるのです。
わたしたちAsobo不動産は、お客様の大切な財産を預かる者として、常に誠実であること、そして専門家としての判断を貫くこと、その一つひとつの積み重ねが、“信頼”というかけがえのない価値につながっていくのだと思います。
<おまけ:法律用語のおさらい>
用語 意味
特定物 一点ものや代替がきかない物(中古車・絵画など)
善管注意義務 普通の人がする程度の注意をしなさい、という義務
債務不履行 義務を果たさなかったことで責任を負うこと
危険負担 物の損壊などのリスクが誰の責任になるか?というルール