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「実測清算」のトラブル!?

土地

「実測清算」のトラブル!?

土地の範囲があいまいだったときの裁判とは
みなさん、「土地の売買契約」って一見シンプルなようで、実は細かな条項にいろんな落とし穴が潜んでいるのをご存じでしょうか?

今回は、土地の「実測清算」をめぐって、売主と買主の認識が食い違い、裁判にまで発展した事例をご紹介します。舞台となったのは、
令和5年3月16日の東京地裁の判決。なんと、実際の土地の広さはわかっていたのに「どこまでを清算の対象とするか」でモメたというケースです。

〇どんな契約だったの?
このトラブルは、ある宅建業者(売主X)と買主Yが、土地(以下「本件土地」)を売買するところから始まりました。

契約には次のような条件が盛り込まれていました

売買代金は3800万円(うち手付金100万円)

登記簿の面積は151㎡、でも実際には130㎡くらいじゃないか?という予想

清算対象となるのは「私道負担がない場合の130㎡」

実測後に130㎡を超えていたら、その差分を292,307円/㎡で精算

セットバック(道路後退)は必要。けれどその面積はどこまでかは不明確…

北側道路には持ち分なし(つまりその部分には権利がない)

測ってみたら…まさかの広さ!
契約後、実際に測量してみると…なんと面積は 159.39㎡!

これに驚いたのは売主X。「あれ?広いじゃん。じゃあ差額(182万円ほど)を払ってよ」と買主Yに請求します。

しかし、買主Yは納得しません。「いやいや、契約の130㎡って“宅地の部分”の話でしょ?余計な私道とか含めたくないし。だから逆にお金返してよ!」と反訴(反対に訴える)しました。

〇裁判所の判断はこうでした
争点はズバリ、「実測清算の対象って、どこまでの土地?」という点。

裁判所の判断はこうです:

「契約書には“セットバック前で130㎡”って書いてあるし、重要事項説明書にも“セットバックが必要”ってちゃんと書かれてる。だったら、売主が言うように“塀で囲まれた130㎡の部分”が対象でしょ」

つまり、売主の主張が通ったわけです。

また、買主が「そもそも契約解除すべきだ!」と主張したことについては、「たしかに182万円の支払いは大事だけど、契約全体からすればそこまで重大じゃないよね」として、解除は無効と判断されました。

この事例から学べること
この判例からわかるのは、契約の内容や図面・面積の説明があいまいだと、後々こんなトラブルになりかねないということです。

特に今回ポイントになったのは…

「130㎡」という数字の意味があいまいだったこと

セットバック(道路後退部分)や私道についての明示的な説明がなかったこと

買主ときちんと範囲について“合意”した記録が残っていなかったこと

〇実務のポイント
土地取引にかかわるみなさん、こんなことには注意しましょう:

契約書や説明資料には、土地の範囲や計算根拠を具体的に書くこと!

図面や現地確認、ブロック塀の位置など、物理的な説明も合わせて行うと誤解が減ります。

 買主との「言った・言わない」を防ぐため、説明記録を残すことがとても大事!

〇まとめ:土地の面積、しっかり確認しよう!
土地売買って、金額が大きいぶん、ちょっとした認識のズレでも大きな問題になります。
「書いてあること」「伝えたつもりのこと」が、実は伝わってなかった…なんてこと、実はよくあります。

この裁判のように、測った結果で精算する“実測清算”のルールは便利だけど、「どこまで測るの?」が曖昧だと揉めごとの原因に。

今回の判例を教訓に、取引のときは「土地の範囲」と「説明内容」の確認をお忘れなく!

ご相談やご不安がある方は、お気軽にAsobo不動産へお声がけ下さい!
土地トラブル、未然に防ぎましょう!