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【82歳の売主さんが巻き込まれた驚きの不動産トラブル!裁判所の判断は…?】

コラム

沼崎 早苗

筆者 沼崎 早苗

消費生活相談員資格を活かした接客、皆さまとのご縁を大切にし誠実な対応を心掛けてまいります、どうぞよろしくお願いいたします。

【82歳の売主さんが巻き込まれた驚きの不動産トラブル!裁判所の判断は…?】
こんにちは!沼崎です
今回は、私たちが日々関わる「不動産取引」において、特に注意したい事例をご紹介します。なんと、82歳の高齢者が売主となったマンション売買が裁判沙汰に!その背景には、驚きの事実が隠されていました…。
では早速、どんなトラブルが起きたのか見ていきましょう!


【事案の概要:82歳の売主さんがマンションを売却】
舞台は平成28年9月。82歳の売主Xさん(原告)が所有していた築30年以上のマンションを、個人の買主Yさん(被告)に売却しました。売買価格はなんと350万円
「えっ、350万円?マンションなのに?」と思った方、そうなんです。これがトラブルの始まりでした。
さらに驚くべきことに、固定資産税評価額が1211万円、リフォーム後の取引価格は2000万円以上が見込まれる物件だったんです。それなのに、売買価格はたったの350万円…。しかも、通常は買主が負担する登記手続費用31万円余を、売主のXさんが支払うという不自然な取引。
「これって、どう考えてもおかしい…」と思ったXさんは、後にこの売買を「詐欺だ!」として裁判を起こすことになります。

【裁判所が見抜いた!この取引の“異常さ”】
裁判所は、この取引が公序良俗(法律や社会のルール)に反しているかどうかを慎重に判断しました。その結果、以下のような事実が認められました。
1. 売買価格があまりに低すぎる!
  • 固定資産税評価額1211万円の物件を350万円で売却。
  • リフォーム後の取引価格は2000万円以上が見込まれる。
  • つまり、固定資産税評価額の3割、取引想定価格の2割にも満たない価格だったんです。
2. 賃貸契約も不自然すぎる!
売買契約と同時に、買主YさんがXさんに月額22万円余(管理費込)の賃料で賃貸するという契約書が作成されました。しかし、この賃料はXさんにとって著しく不利益で不合理なものでした。
3. 82歳の高齢者を狙った“暴利行為”
Xさんは当時82歳で一人暮らし。高齢で新しい住居を確保する余裕もなく、契約内容を十分に理解していなかった可能性が高いと裁判所は認定しました。一方のYさんは、そんなXさんに対して、確認もせず漫然と契約を締結。これは「暴利を得ようとした行為」とみなされました。

【裁判所の結論:この取引は“公序良俗違反”!】
裁判所は、以下の理由からこの売買契約を公序良俗に反して無効と判断しました。
  • 売買価格が著しく低廉で、Xさんにとって損失が非常に大きい内容だった。
  • Yさんの行為は、高齢者の理解力の低下を利用したものと認められる。
さらに、YさんがXさんにとって不合理な賃貸借契約を結ばせた行為についても、不法行為に該当すると認定されました。

【損害賠償の行方は…?】
Xさんは精神的損害に対する慰謝料200万円を求めましたが、裁判所はこれを認めませんでした。理由は、登記が抹消されて所有権が保全されれば精神的苦痛は解消されると考えられたからです。
ただし、Xさんが弁護士に委任して仮処分の申立てや訴訟を行ったことによる弁護士費用相当額50万円については、Yさんの不法行為と相当因果関係がある損害として認められました。

【この事例から学べること】
この事例は、高齢者が関与する不動産取引において、いかに慎重な対応が必要かを教えてくれます。特に気をつけたいポイントは以下の通りです:
  1. 取引価格が不自然に低い場合は要注意!
    固定資産税評価額や周辺の相場と比較して、明らかに安すぎる価格は不自然です。
  2. 契約内容をしっかり理解すること!
    高齢者の方が取引に関与する場合、家族や専門家に相談することが大切です。
  3. 公序良俗違反や不法行為が認められることもある!
    今回のように、著しく不利益な契約内容や、高齢者の理解力の低下を利用した行為は裁判所に否定される可能性があります。

【まとめ】
不動産取引は人生の中で大きな決断の一つです。特に高齢者の方が関与する場合、周囲のサポートがとても大切!今回の事例は、そんなことを改めて考えさせられる内容でした。
もし皆さんの周りに、不動産取引で困っている方や不安を抱えている方がいれば、ぜひお気軽にご相談くださいね!
では、また次回のブログでお会いしましょう!

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